起立性調節障害で眠れない、起きられないで自宅にいる子でも、どうしても起きたい、起きなければならない用事もあります。通院、学校行事、受験、高校生以上ならアルバイト、友達との約束…。
我が家のODっ子は発症から約6年。彼女なりに、どうしたら自分が起きやすいかをずっと試行錯誤しています。闘病している子は、みんな同じだと思います。
娘は現在専門学校1年生を終え、欠席は0日でした。遅刻も数分ほど1~2回遅れた程度のようです。
どうすれば朝、起きやすいかは人それぞれだと思いますが、出席率100%の彼女がどんな工夫をしているのか、比較や参考になればと思い、書き記すことにします。
室温が高いと起きられない
娘は、部屋が暖かいと起きられないそうです。目覚ましのアラームが鳴っても無意識に止めていて、止めたことも覚えていないとか。
この2~3年は、エアコンのタイマーと布団の厚さで調節しています。
冬でも夏の肌掛け布団で寝て、早朝に暖房をタイマーで消し、目覚ましが鳴るころには涼しくなっているのがいいそうです。
うっかり切タイマーをセットし忘れると朝になっても部屋が暖かいままで、起きてこないなと思って私が声を掛けると、苦しそうな顔で起きます。
寝るまでに水分・塩分をしっかり摂る
水分が不足していると、娘は起きた時に体が固まったように動きません。確かに起立性調節障害は、脳に血流が充分に届かないことでさまざまな不調が起こる病気なので、医師からは血液の素となる水分をしっかり摂るように指導がなされています。
ただし寝る直前に多量に水分を摂ると、トイレに行きたくなって深夜に目覚めてしまうので、夕食あたりからちょこちょこと分けて、意識的に摂るとよいようです。
塩分については、具体的にどれほど摂ればいいのか高校生時代の主治医に尋ねたところ、「白ご飯に塩をかけて食べる感じ」とわかりやすい答えをもらいました。塩分は体内に水分をとどめる役割があります。
カーテンを自動で開けるボット(装置)
娘が起立性調節障害を発症して2年ほど経った頃、我が家が引っ越さなければならなくなりました。私は朝の陽ざしが部屋に差し込んで起きやすいように、東向きの個室がある物件を探しました。
そして次に、設置するカーテンの厚さに悩みました。最近は外気の暑さ寒さや、都会の夜の灯りなどに対応した厚い遮光カーテンが人気のようですが、それだと朝になっても部屋が暗いままの状態です。かといって薄いカーテンだと、日の出の早い真夏には、なかなか寝付けずやっと眠りに落ちかけた早朝に早々と部屋が明るくなってしまいます。
そこで娘がインターネットで探したところ、いいものが見つかりました。カーテンをタイマーで開閉する小さなボット(装置)です。しかもそれほど高くないのです。
価格:9,980円 |
充電して、カーテンの端のフックとフックの間のレールに掛けるだけなので、設置もとても簡単。スマートフォンにアプリを入れ、開閉時間をセットします。
最初は、試しに1個だけ購入してみました。時間が来るとウィーンと動き出し、遮光カーテンを開けてくれます。起きる時間の2時間ほど前にセットしておくと、体が朝の光を感知して起きるモードになるので、起きやすくなったと言っています。うちの場合、ベッドのある側のカーテンだけ開けば、寝ている娘の周りが明るくなるので、ボット1個分の出費で済みました。
本人が感じる効き方で薬を使い分け
中学生時代に専門外来を受診していた頃、いくつか薬を処方されました。血圧を上げる薬、睡眠のリズムを整える薬などがありましたが、子どもに処方されるのでどれも効き目は穏やかなものでした。
娘の場合、朝に飲む血圧を上げる薬は「効き目をあまり感じないし飲みたくない」と本人が言っていて、それを医師に伝えると、無理に飲まなくてもよいと言われ、早い時期に飲むのをやめました。
一方、「続けて飲むことで睡眠と覚醒のリズムを整える」という薬について娘は、「これを夜に飲むと、翌朝起きやすい」と感じていて、起きなければいけない日の前夜に、とんぷく薬的に飲んでいました。医師に話すと、本人がそう思うならそういう使い方でも構わないよということでした。
もちろん、娘が効かないと思った薬も他のODっ子には効いて「うちの子には合っているみたい」というお母さんもいらっしゃいました。
医師によると「劇的に効く薬は逆に怖いでしょ」ということで、現状で起立性調節障害に出される薬では、どうしても飲まなければならないというものもないようです。医師に相談しながら、自分で調節するのもいいかもしれません。
家族は物音で昼間を演出
昼間に家の中が静かだと、人はつい長時間寝てしまったりします。娘も、リビングからテレビ音や物音がしていると時刻が気になったり、家族がいるならそろそろ起きた方が感じがいいかなと思ったりしているようでした。
ですから娘の閉じこもり時代に、私は仕事などで家を空ける時、テレビやラジオを大き目の音量でつけっぱなしにし、昼間を演出して出かけていました。今でも土日に在宅の夫には、昼間に娘が寝ていても、遠慮せず音を立てて行動するように話しています。
ベストな起き方は本人次第
起立性調節障害には特効薬がなく、自然にはなかなか治らず、症状は大人になっても体質として残る傾向があります。この病気とは、ある程度は一緒に生きていく覚悟も必要かもしれません。
一方、起立性調節障害でない大人でも、低血圧や年齢的な症状で朝起きにくい人がいます。そういう人達は目覚ましを止めた後、布団の中で手足の指を動かして末端から血行を促したり、あるいはスマートフォンのブルーライトを朝は寝床であえて見て、目を覚ましたりするという話も聞きます。
体質は人それぞれ。今ベッドで苦しんでいるODっ子達には、自分の体と向き合いながら少しずつでいいので、効果的な眠り方や起き方を見つけていってほしいなと思います。
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