体調不良を訴える不登校さんと、その親御さんへ
朝、起きられず学校へ行けないお子さんについて、周りの大人は「夜更かししているから」「怠慢だろう」と思いがちです。
でも様子をよーく見ていると「どうもそれだけではない、何かの病気ではないか」と思えてくる方も多いのではないでしょうか。
そんな方々に、この本をおススメします。
マンガ 脱・「不登校」 起立性調節障害(OD)克服と「だいじょうぶ感」をはぐくむ [ 加藤 善一郎 ] 価格:1,296円 |
今、中高生の10%が罹っているとも言われる起立性調節障害(OD=Orthostatic Dysregulation)の子どもと家族(特に母親)の苦悩や、治療例の様子、学校との関わりをわかりやすくマンガで描いています。
小児科臨床現場での診療をモチーフにマンガ化
岐阜大学小児病態学教授・加藤善一郎医師は、体調不良で不登校になっている子ども達を数多く診るうちに、その背景には身体的特性がからんでいたり、自律神経や神経・発達障害に対する小児神経科医としての経験が役立ったりすることを実感するようになったそうです。
起立性調節障害(OD)っ子は、夕方から夜にかけて体調がよくなってくるように見えるので、その時間に帰ってくる父親は、ゲームをしたりテレビを観て笑っているわが子の「やる気・気合の問題じゃないか」と思ったりします。
ゲームができるのなら勉強もできるだろう、と思ったりもします。
私も子どもが実際に起立性調節障害ですが、一緒にいる時間が長い母親の私ですら「元気なんやん」と錯覚することがあるくらいですから、仕方がないのかもしれません。
でも身体がだるい、頭が痛いと病気に苦しめられている本人にしてみれば、たまったものではありません。
発熱や咳などの症状があれば病人として認めてもらえやすいですが、この病気は見た目にはわかりにくいのでやっかいです。
校長・養護教諭・体育教師…学校への働きかけ
ODっ子の不登校は、「朝起きられない」「とても体調が悪い」から始まることが多いでしょう。
朝からは無理でも午後からなら行ける子もいますが、うちの子のように遅刻で目立つのを嫌がって、1時間目から行ける日にしか登校したくない子もいます。
そうでなくても思春期。
気持ちもわかります。
時々でも行けたら親としては「よかった」と思ったりするのですが、本人は学校でさまざまな思いをします。
勉強がわからなくて授業が苦痛、同級生からは「サボりやろ」と言われ、教師の中には「今日来られたんだから明日もおいで」と言う人もいます。
明日起きられるかなんて、本人にもわかりません。
少しなら行けるのに、本当に行きたくなくなってしまう状況を打破するために、教育現場といかに連携をしていくかの例も示されています。
「だいじょうぶ感」をはぐくむ
自己肯定感とは少し違うが「(理由はよくわからないが)自分はなんだかOKだと感じる」という感触が子ども達の心にあると、不登校から抜け出せるというような意味のことも書かれています。
家族や教師などに見守られ、日常生活に安心があり、自分はこの先何とかなる、というような感じなのかもしれません。
すべては個人差、学校差、地域差がある問題ですが、本人やその家族の苦しみや悩みに寄り添った1冊ですので、関係機関の方々にもぜひ目を通してもらえたらと思います。
マンガ 脱・「不登校」 起立性調節障害(OD)克服と「だいじょうぶ感」をはぐくむ [ 加藤 善一郎 ] 価格:1,296円 |
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